雨も 風も 空も


 薄い膜がはられたように、身体に空気をまとってる。
 誰も何も言わない、だから、こわい。
 押し黙って、あえて話題にしないんだもの。
 雨も、風も、運んでくる。
 見えない、無臭の、あれを。
 もしかしたら、あのときも、
 静かに、隣に座ってきたんじゃないか。
 とぼけたふうに、親しげに。
 いつもと変らない静かな朝。
 ひとり、身震いする。