何を語ろうか


 昨日のETV特集を観てみんな何を思った?一人の女性の語り「若い頃、福島原発に働いていたけれど、今は東電も原発も憎い。」苦しそうに泣く姿が脳裏に残る。若き日を、意気揚々と過ごしてきた。その日々を否定しなくてはならないなんて、私たちはなんなんだろう。ひとりの人生をつぶしてしまう。教育は、昨日の、今の、そして未来の私たちを肯定するものじゃないの?誰へとなくつぶやいてしまう。


 そして、観終わった後の感覚にも疑問を持った。

 番組が終わり、まるですべてわかったように感じている。テレビの前から寝室に移り、はっと立ち止まった。ひとつの物語が完結したように錯覚する。福島の土を手に取って握りしめる感覚をもてない。惹き付けて考えるイメージ力が足りない。しばらく部屋をうろつく。
 記憶、は、映像、報道によって「ある」「消える」代物じゃない。
 わたしが取り戻すもの、いや・・・これから築くものはたくさんある。生きるよろこびの中に、ひとりにならずに、みんなで見つけていくものがある。これからだ、と思うんだ。つながっている。あの女性の涙と私たちと。