わたし こころとからだをもっている。だから、わたし。
 勇気ある一歩。
 難しい言葉はわからないんだけど。なんだか、大切な一歩を踏み出したと思う。
奪われたものは大きい。裁判で勝訴しても、壊された時間が元に戻るなんてない。
何度謝ってもらっても、取り返しがつかないのに。
 七生のできごとから数年、じわじわと学校の性教育が壊されていった。
その時、育ち盛りの子どもたちは、不十分で薄い学びしか手にすることができなかった。
わたしは、簡単によろこべない。暗い〜、性格ゆがんでる〜、と言われるかな。
 
 軽々と笑顔で、時に苦しみながら作り上げてきたすばらしい七生養護学校の実践の意味を理解する・・・
それぞれの場所で、目の前にいる子どもたちが輝く実践に挑戦していく・・・
この勝訴の意味が生かされる。
 

「こころとからだの学習」裁判東京高裁勝利判決について(談話)

                      土方 功 (全教)障害児教育部長

1.2003年7月にはじまる、東京都立七生養護学校(当時)の教育内容に対する都議、
都教委、産経新聞などによる不当な介入・支配に対し、29名の教員と2名の保護者
が原告となった裁判「こころとからだの学習裁判」(略称、「ここから裁判」)の第2審
判決が、9月16日、東京高等裁判所第2民事部(大橋寛明裁判長)において出され
ました。

2.今回の高裁判決は地裁判決を維持し、再び都教委・都議を断罪しました。そして以下
のような点で画期的なものとなりました。
①学習指導要領の基準性について、「一言一句が拘束力すなわち法規として効力を有す
ることは困難」とし、「教育を実践する者の広い裁量」を強調し、教員の裁量を広い
範囲で認めていること。
②都教委が七生養護学校性教育を理由として行った「厳重注意は違法」と、再度明
確に認め、行政の指導は抑制的であるべきことを認めたこと。
③今回の都議らの行為が、七生養護学校の教職員に対する「侮辱に当たり、不法行為
を構成する」と再度認めたこと。さらに、それらの侮辱行為を都の「職員らが制止
するなどしなかったことは、教育に対する『不当な支配』から教員を保護するよう
配慮すべき義務に違反したもの」と断罪していること。

3.この判決は、石原都政がこの間すすめてきた乱暴な教育への介入を、司法として再び
断罪するものです。同時に、教育への不当な介入・支配とたたかい、子どもと教育を
ねばり強く守り続けている教職員、父母、関係者を励ますものです。全教は、都教委
がこの判決を真摯に受け止め、これまでの教育政策を見直すことを強く求めます。ま
た、都議、都教委が上告することなく、この判決に従うことを要求します。
今回の判決は、強権的な取り調べの問題や教職員の強制異動の問題など、地裁の判
決から引き続いて申し立ててきた課題については触れていないなどの問題はあるもの
の、丁寧な事実認定が行われ、乱暴な教育介入を断罪し、教育の条理に立った教育の
創造と、学問の自由・創意・責任にもとづく教員の専門性の確立をすすめるとりくみ
の武器ともなる画期的なものです。全教は、全国の教育関係者がこの判決を生かし、
子どもたちが大切にされる教育を推進するために力を合わせることを呼びかけます。


                             2011年9月16日

はだか―谷川俊太郎詩集

はだか―谷川俊太郎詩集