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カムイミンタラhttp://kamuimintara.net/
というウェブマガジンがあります。
しっかりしていて、読み応えがあります。案外地元のことって知らないものだと教えられます。
アイヌのおどりと流した涙
十数年前、白糠で暮らしていたことがあります。すぐ近くで熊が出没し、気をつけて生活しよう、と看板が立ちました(無理っっっ!)。眠っていると、数キロ先から潮騒が聴こえ、どこまでも広がる海を想像して、ちょっと恐くなりました。アイヌの方たちが近所にいて、料理講習会やアイヌ文様の刺繍など町内企画で催されていました。
町でも目立って元気のいいおじさんは、気さくで、面白くて人気がありました。目が大きくてしっかりした眉。アイヌの仲間といつも一緒。だけど、「俺はアイヌ人じゃないから。」とよく言っていました。
ある日、アイヌの有名なバンドが町に訪れました。素晴らしい歌声と衣装と、魅惑的な楽器。コンサートの最後は、全員輪になって民族舞踊。観ていたアイヌの方たちが輪に入り、一緒に踊りました。あの、おじさんもパイプいすから立ち上がり、勢いよく輪に飛び込んで踊り始めました。大きな目から、たくさん涙を流し、ずっとずっと踊り続けました。音楽が終わり、おじさんは堂々と会場を出て行きました。わたしたちは何も言わず帰ってきました。
だれも、奪うことができない。彼らしさを。何かを突き抜けた熱い気持ち。押さえることなんか、誰にもできないんだと思いました。
アイヌの神様、梟の鳴き声が、こんなふうに聴こえる。
「銀の滴降る降るまわりに、金の滴降る降るまわりに・・・。」
- 作者: 知里幸恵
- 出版社/メーカー: 岩波書店
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