嘘つき


どうして あなたに 嘘なんかついたんだろう


本当のことを 言ってしまったら、
あなたとあの人を もっと近づけてしまう
わたしにだけに見えるふたりの空気を
告げてしまったら 
気づかせてしまう
だから、知らない顔をしたの



どうして あの時 嘘なんかついたんだろう



記された事を 教えてしまったら、
わたし、あなたと 逢えなくなってしまう
暗闇で開いた小さな紙切れ 本当の気持 
読み上げてしまったら
離れていってしまう
だから、言わなかったの



白い壁が続く 異国の街も
毎朝の 散歩道も



どこにいても あなたは存在している



あなたが美しく生きた後は 
望みどおりの場所で 土になった  


わたしがどこに行こうと この大地の上で
一緒にいられるようになった


本当のことを 言えばよかった
そして
本当のことを 聴けばよかった


こんな風に 一緒にいられると
信じ合えると 最初から決まっていたのに


その時 耳を切り捨てたくなっても
真っ直ぐ見て 
嘘なく 問いかければよかった



あなたの 真実を

      〜 8.17生まれの ある平和の人へ 〜