書店ガール。

軽快で、心地よい小説だった。
前に、大ブレイクした時の赤川次郎を彷彿とさせた。

場面設定もいい。「書店」。中心人物は27歳と40歳の女性。
生き方が対照的に見えながら、突き詰めて行くと、わたしには
ふたりでひとりの人を表現しているように感じられた。
つぼにはまらない人には、平凡な小説で終わるように思うけど。
わたしには、とってもタイムリーだった。

淡々と話は展開し、そのテンポは最後まで続く。
そつなく日常を送っているようで、見え隠れする悩みや苦労に、
ひとりひとりの人物像が浮かぶ。
脇役にスポットをあてても、ひとつの物語が描けると思った。
元気に、しかし、世の中の闇もすぱっと切り込んで深追いしない。

おとなが持ちつづける恥ずかしい純粋さを、
しつこく誇示しない、痛快小説だ。

さらりと心をなでつつ、ピリッと辛い後味。
キレのいいビールみたいだ。

書店ガール (PHP文芸文庫)

書店ガール (PHP文芸文庫)