都わすれ

 一人暮らしをはじめたとき、GWにすぐ実家に帰り、ミヤコワスレをみた。
 離郷は楽しみにしていたのに、納得もできない半端な自立だった。
 大学がまたはじまるから、と玄関を出ると、
 見たこともない濃い紫の花。
 
 名まえはずっと後で知った。 

 ミヤコワスレ

 雑草のように強い花。
 忘れないで、と逆説でつけられたのか。
 
 わたしの実家は、夕張。
 都をわすれた街。
 忘れて咲いている方が、強く美しく、濃い彩色を放つ。

 田舎をわすれて都へ向かうわたしに
 釘を刺したのか。

 一世を風靡した面影がさびしさをよぶ街。
 はじめて札幌へ一人暮らしに向かう時に見つけた、
 忘れられない花。